相続人がいなかったら

■天涯孤独で死んでしまったら
配偶者にも先立たれ、子どもははじめからいない、親も死んでいるし、もともと兄弟姉妹はいなかった・・・というように天涯孤独で亡くなることもあるでしょう。
また、相続放棄や、欠格、廃除などによって相続人がいなくなることがあるかもしれません。
こうした状態を相続人の不存在といい、その場合の取り扱いについて、民法は相続編に独立の章を設けて規定しています。
民法では、相続人のいることが明らかでない場合、相続財産は相続財産法人と呼ばれる特別な法人の扱いとされ、相続人を探すための手続きを踏むことになります。
相続人が現れた場合には、通常の相続手続きになりますが、相続人が現れなかった場合には、一定の期間経過後に、
①債権者への清算
②受遺者への分配
③内縁関係にあった者など裁判所が認めた特別縁故者にあった者など裁判所が認めた特別縁故者に対する財産分与
の順に行い、最終的に残額があれば国庫に納められます。
■特別縁故者への分与とは?
特別縁故者への分与とは
①被相続人と生計を同じくしていた者
②被相続人の療養看護に努めた者
③その他被相続人と特別の縁故があった者(これらを特別縁故者という)からの請求にもとづき、家庭裁判所が相当と認める場合、相続財産法人の清算後のこった財産の一部または全部を特別縁故者に与えられるとした制度をいいます。
この特別縁故者への分与制度は、1962年の民法改正で導入されたもので、特別縁故者としては、身内同様に世話をした者、内縁関係にあった者、事実上の養子、長年介護をして最後を見とった者などが考えられますが、個人のほか、養老院など法人でもかまいません。