遺産分割の方法は5種類

遺産分割はいつまでにしなければいけない、という規定は民法上特にありませんが、遺産の分割が済んでいないと、配偶者の軽減措置が受けられないなど、税法上の不利益を被ることがありますので、分割は早めに済ませましょう。
遺産分割の方法としては、以下のような方法があります。
●現物分割
相続ではもっとも一般的に行われている方法です。
相続する財産のうち、「家は長男に」「自動車は次男に」「死亡退職金は長女に」という具合に、1つ1つの財産についてその取得者を決めていく方法です。
相続人それぞれの希望や思惑がからんでくるので、意見を調整する上で長引くことがあります。
遺言で指定する、あるいは現物を調整するための現金資金を用意しておくなどすれば比較的スムーズに進みます。
●代償分割
相続財産が分割に適さない不動産や自社株などの場合、相続人の1人がその不動産などを自分の相続分を超えて相続します。
そして超過分については、その相続人の財産の中から金銭で支払う方法です。
例えば、兄弟2人で合計1億円(不動産:9000万円 + 預金:1000万円)の財産を相続するとします。
兄弟の相続分は半分ずつ、5000万円です。
この場合、不動産を処分できないので、いったん兄が9000万円の不動産を取得し、差額の4000万円を弟に現金で支払うようにすれば帳尻が合います。
相続人の中に、代償分割できるだけの金融資産がある者かどうかなどがポイントとなります。
●代物分割
代償分割とよく似ていますが、相続分を超えていったん相続財産を取得した者が自分の財産の中から、株式や不動産、債券などの現物をほかの相続人に譲渡することで帳尻を合わせる方法です。
●換価分割
相続財産をすべて売却するなどして、現金に換え分割する方法です。
法定相続分どおり分割したいという場合などに、一般的に使われます。
●共有分割
不動産などのように、相続財産が分けにくいものである場合、相続人の共有というかたちで相続する方法です。
手軽ですが後々処分が持ち上がったときにトラブルになることもあります。
これら5つの方法のうち、代物方法および換価分割などについては、譲渡した資産の譲渡益は、所得税の課税対象となります。
専門家のアドバイスも参考に、トータルのコストを考え、ベストな方法を選択するようにしてください。