共同ビジネス向け制度

仙台市 会社設立 はオヤマ経営
合同会社(日本版LLC)などの新設を規定した会社法より、少し早く施行されたのがLLP法(有限責任事業組合契約に関する法律)。
名称からわかるように、LLCとLLPはよく似ています。
  LLC:Limited Liability Companyの略称、正式には「有限責任事業組合」、
  LLP:Limited Liability Partnershipの略称
どちらも、
 ・すべての出資者が有限責任
 ・意思決定方法や利益分配方法を出資者同士が自由に定めることを認められた組織
したがって、合同会社の特徴と同様、LLPも人的資源を生かす共同事業に適しています。
ただし、LLPは法人ではありません。
その理由はLLP特有の課税方式にあり、この課税方式こそがLLPの最大の魅力であると共に、合同会社(LLC)との大きな相違点となっています。
*最大のメリットは構成員課税方式
 合同会社(LLC)を始め、会社はすべて法人=所得には法人税が課せられます。
対して
 LLP(法人ではない)=LLP自体に課税は行われない。何年にもわたって黒字を出し続けても、まったく課税されないのです。
では、どのような時に課税が発生するのでしょうか?
LLPへの出資者が、そのLLPから利益分配を受けたときに限り、各出資者に対して課税が行われます。このような方式を構成員課税(あるいはパススルー課税)と呼びます。
構成員課税のメリットはLLPが黒字、赤字、どちらの場合にもあります。
◎黒字の場合
出資者に利益分配をした場合、いわゆる二重課税を回避することができます。具体的には下記「株式会社とLLPの課税方法の違い」を参照してください。
◎赤字の場合
出資者が損益通算(納税者が別々の損益を一本化して課税所得を算出する税法上の制度)できるため、各出資者は自らの所得からLLPの赤字を差し引くことができます。
出資者のA社に1000万円の課税所得があっても、LLPから分配される赤字▲1000万円を通算すれば、所得は0円となり、A社への課税は行われないことになります。
言うまでもありませんが、仮にLLPから分配される損失が▲800万円だとすれば、1000万円から800万円を引いて、A社の課税所得は200万円ということになります。
このように説明すると、合同会社(LLC)のメリットがないように見えますが、実際はそうでもありません。
LLPの出資者・・・そのLLPから利益分配を受けることはできても、報酬(給料)を受け取ることができない決まりがあります。
合同会社の出資者・・・配当も報酬(給料)も受け取ることが可能。
したがって独立に際し、どちらを選ぶかとなった時は・・・
立ち上げる事業が「本業」⇒安定的に報酬を得られる合同会社を選ぶ
本業とは別の共同事業などを立ち上げる⇒課税上有利なLLPを選ぶ
といった考え方もできます。

過剰在庫で原価の重圧

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過剰在庫で原価の重圧【お金の失敗】
●時期
開業後半年~
●失敗例
大ヒット商品のため、入れ込みを倍にしたら、資金が不足・・・
小さな輸入雑貨店をオープンして1年。入荷した人形が完売したので、200個追加発注しました。
が、今度は全く売れず、在庫の山。
仕入れ代金を支払い、口座の残高を見てびっくり
●改善案
好調な時ほど資金繰りに注意しましょう。
特にショップの場合、在庫はリスクに直結します。
在庫がないために販売機会を逸することも、気張って仕入れたものの全く売れず倉庫の肥やしになることもあります。それに、商品の売上金が手元に入るよりも、その仕入れ代金を振り込む時期のほうが早いことがほとんどです。
常に「現金の動き」を基準に資金繰りを考えましょう

相続人がいなかったら

■天涯孤独で死んでしまったら
配偶者にも先立たれ、子どもははじめからいない、親も死んでいるし、もともと兄弟姉妹はいなかった・・・というように天涯孤独で亡くなることもあるでしょう。
また、相続放棄や、欠格、廃除などによって相続人がいなくなることがあるかもしれません。
こうした状態を相続人の不存在といい、その場合の取り扱いについて、民法は相続編に独立の章を設けて規定しています。
民法では、相続人のいることが明らかでない場合、相続財産は相続財産法人と呼ばれる特別な法人の扱いとされ、相続人を探すための手続きを踏むことになります。
相続人が現れた場合には、通常の相続手続きになりますが、相続人が現れなかった場合には、一定の期間経過後に、
①債権者への清算
②受遺者への分配
③内縁関係にあった者など裁判所が認めた特別縁故者にあった者など裁判所が認めた特別縁故者に対する財産分与
の順に行い、最終的に残額があれば国庫に納められます。
■特別縁故者への分与とは?
特別縁故者への分与とは
①被相続人と生計を同じくしていた者
②被相続人の療養看護に努めた者
③その他被相続人と特別の縁故があった者(これらを特別縁故者という)からの請求にもとづき、家庭裁判所が相当と認める場合、相続財産法人の清算後のこった財産の一部または全部を特別縁故者に与えられるとした制度をいいます。
この特別縁故者への分与制度は、1962年の民法改正で導入されたもので、特別縁故者としては、身内同様に世話をした者、内縁関係にあった者、事実上の養子、長年介護をして最後を見とった者などが考えられますが、個人のほか、養老院など法人でもかまいません。

独立の受け皿になる法人

仙台市 オヤマ経営
一口に法人といっても、実は250種類以上にものぼります。
よく耳にするところでいうと、
・学校経営なら、学校法人
・老人ホーム経営なら、社会福祉法人
・病院経営なら、医療法人
・農業経営なら、農事組合法人 
などでしょう。
しかし、業種や事業規模とは関係なく選べるものとなると、
ある程度絞られてきます。        
業種や事業規模とは関係なく選べる代表的なもの
・ 会社
・ 企業組合
・ NPO法人

改正労働基準法

平成22年4月1日施行される労働基準法の改正点の一つは下記のようになります。
一か月60時間を超える時間外労働については、法定割増賃金率が、現行の25%から50%に引き上げられます。(ただし、中小企業については、当分の間、法定割増賃金率の引き上げは猶予されます。)
割増賃金率の引き上げは、時間外労働が対象です。休日労働と深夜労働の割増賃金率は、変更ありません。
猶予される中小企業(企業単位で判断)
資本金または出資金の総額
小売業   5000万円以下
サービス業 5000万円以下
卸売業   1億円以下
上記以外   3億円以下
又は常時使用される労働者が
小売業   50人以下
サービス業 100人以下
卸売業   100以下
上記以外   300人以下

モラトリアムと貸し剥がし貸し渋り

民主党政権が打ち出している借入金の元金返済猶予。金融機関の企業の評価が変わらず、元金が猶予されたら助かる中小企業は相当多いはずでは。
これまで、金融機関の貸し剥がしや貸し渋りの現実に見てくると、金融機関にも、金融庁の検査と自己資本のジレンマ、新規融資を伸ばさなければいけない宿命とこの不況。
この不況、世界大恐慌は3年くらい地べたを這っていましたが、今回の不況はあと3から4年くらい(大企業)。中小企業はその倍くらいかかるような気がします。しかし、どの産業も社会的に必要で、同業者の数が多いので、相当数淘汰されるのでは。勝つための経営をしていく必要があります。

歯科医院の税務

早いもので今年も残すところ、2か月を切りました。この時期には、クリスマスやお歳暮を頼んだり、年賀はがきを書いたり年末年始にかけて慌ただしくなる季節になりました。しかし、これ以外にも重要なことが一つあります。決算対策と確定申告の準備です。
決算対策では、あと二か月で会計年度は終わりですので、事業用資産で10万円未満・10万円以上30万円未満のものは全額経費(上限が300万円)になりますので、無駄なものは買う必要はありませんが、来年の1月以降買う予定があれば、年内の購入をお勧め致します。購入した金額の税率部分が節税になります。
確定申告の準備として3つを上げました。
①代診の先生に給与を支払う時に、税金を控除して支払っているか?
  給与の形態や払い方によって、差し引く税金が異なっています。
 例、週に数日働いて1か月に一回払う月給の場合、月給表の乙欄の税金で す。23万円なら23,000円です。
 1回だけの手術代を支払う場合は、日額表の丙欄を見ます。3万円なら1,718 円です。
②無料で診療した場合?
 保険診療の場合には、患者負担金を必ず貰わなければならない規則があ  り、収入も上げる必要があります。
 自費診療の場合には、下記の金額を収入に上げる必要があります。
 例:自費の補綴治療で、材料代と技工代が3万円かかり、通常9万円貰うと ころを、知り合いなので無料にした場合には、下記の計算により、収入を 上げる必要があります。
 通常の診療報酬の70%か原価(材料代・技工代)のどちらか多い金額で す。
 9万円×0.7=63,000円>3万円  なので
 収入に上げなければならない金額は63,000円となります。

NPO法人10歳

NPO法人は12月から導入された「新公益法人」に影響されそう。社団法人と財団法人のうち公益性の高い組織を原則非課税とする新公益法人制度。これにより、一般の社団、財団法人は登記だけで設立できるようになった。NPO法人からも移行しやすくなり拡大を目指すNPO法人などは組織転換し、将来的に欧米のように新公益法人をめざす動きがある。しかし、経済産業研究所の調査では05年度はの収益は「百万円未満」のNPO法人が25%占めた。

人事制度

飛躍的な成果を上げた人事制度の導入事例発表
● 減収減益を救った「共に成長できる」人事制度とは
● 小さな成功体験の積み重ねが社員の成長
● 社員の成長のための人事制度は、組織風土を変える
● 自信を持って社員と向き合い、社長の思いを伝える
● 管理者の成長が経営者の余裕を生み出す
● 新卒社員の採用に人事制度を活用し定着率UP
去る9月11・12日、人事塾第3回全国大会が東京にて行われました。場所は浜松町にあるメルパルク東京。東京タワーが一望できる会場に、50名の経営者・経営幹部の方が集まりました。
今月号のニュースレターでは、1日目の成果発表会の内容について、お伝えします。
■ 減収減益を救った「共に成長できる」人事制度とは
株式会社システム
代表取締役  鈴木 様
事業内容:コンピュータシステムの開発、保守、データセンター構築、運用(情報サービス)
「きつい」「厳しい」「帰れない」。システム開発業は今、新3Kと呼ばれる業種です。魅力を感じられず、システム技術者を目指す若い人が減っています。システムさんでも、社員が当たり前のように残業をする日々が続いていたそうです。
「売上・利益がともに計画以上の実績になったにもかかわらず、社員に元気がない」
鈴木社長がそう思ったのが4年前の決算時でした。経験の少ない上司が多く、部下をどう育成・指導していいのかわからない。部下が成長できないばかりか、上司を尊敬できないために相互不信に陥りモチベーションが下がる。給与について直属の上司が説明できないために、中途で退職する社員が増加。そういう状況が続いていたのです。そして3年前、ついに創業以来の減収減益になってしまいました。
「社員数も50人に近づいている今、次の技術者・リーダー・経営者を生み出せる組織にならなくてはならない。人を育てられる仕組みが必要だ」
そう強く感じた鈴木社長は、人事制度づくりに着手されたのです。
人事制度をつくって運用した。たったそれだけのことがもたらした効果はどれほどのものだったのか、想像がつくでしょうか。
売上 5億円→7.2憶円
利益 2200万円→4700万円
です。たった1年で、利益は倍以上になっていました。しかも、
社員1人当りの売上 1千万円→1.3千万円
社員1人当りの利益 46万円→86万円
と、社員の生産性も下がるどころか、利益にいたっては倍近くも伸びています。定着率も向上し、新卒のエントリーや受験者数もぐっと増えました。
「鈴木社長はきっと素晴らしく完璧に人事制度をつくられたに違いない」
多くの方がそう思ったはずです。しかし、実は、わずか2枚(2種類)の成長シートをつくっただけでした。つくってすぐに運用を始めただけなのです。
もともと給与体系があり、変更する必要がなかったということもありますが、1年目に運用したのは成長支援制度(評価制度)の部分のみです。成長支援制度が社員のモチベーションをアップさせ、その結果業績が飛躍的に伸びたのです。
もちろん、成果は数字だけではありません。成長シートを基に上司が部下を育成することができるようになりました。上司は自分で成果をあげるのではなく、部下を成長させることを考えるようになり、相互の信頼関係が回復しました。
また、社員が自ら成長を計画し、お互いに教えあって成長できるようにもなりました。その仕組みの1つがユニークです。システムサーバーさんでは、研修を受けた社員には講師になる義務が発生するのですが、その制度を使い、どんどん自主的に勉強会を開くようになったそうです。「自分(達)で考え自分(達)で実行」「共に成長します」といった、企業理念が実現し始めたのです。
そして、何を評価するのか、どう指導するのか、どう処遇に反映させるのか。これらを見えるようにしたことで、「後継者に引き継ぐことのできる会社」(鈴木社長談)になったのです。
■ 小さな成功体験の積み重ねが社員の成長
株式会社盛
代表取締役  寺田 様
池幡 弥生 様
事業内容:豆乳・豆乳加工品、惣菜の製造・販売
美盛さんは、寺田社長とパートさん2人、鍋1つに小さな冷蔵庫1つで始めた会社でした。順調に会社は成長していき、あるとき限界に近づきました。
「もう少し人手が必要だ」
そうして始めた中途採用は、自分より年上の経験者や同年代の職人中心。しかし、3~4年くらい経つと辞めてしまうなど定着率が悪く、あちこちから不満が聞こえるようになったそうです。
そこで、次に20代や30代前半といった若い社員を中途で採用し始めました。採用した若い社員たちは特に経験があったわけではなかったのですが一生懸命に働いてくれたそうです。その姿を見ているうちに、何かしてあげたい、中長期にわたって安定して成長させてあげたいという思いを持つようになり、人事制度づくりに着手されたのです。
人事制度を運用していく中で、寺田社長が1番驚かれたのが社員の成長でした。成長シートを使って仮評価し、社員と面談を行ったときのことです。
総合評価でCやDだった社員に「Bよりももう1つ上のAを目指せよ」と話した寺田社長。すると、社員は首をかしげてしまいました。「どうしたの?」。そう声をかけた寺田社長に、社員はどんな返事をしたと思いますか?
「Sランクを目標にしちゃダメなんですか?」
それも1人だけではありません。全員がSランクを目標にしたいと言ったのです。
毎日朝と晩に時間をつくって行っている個別面談。その面談率は今や100%になりました。社長にとっても社員にとっても楽しい場だからこそ、100%という数字を実現できているのでしょう。
成長シートをもとに自己育成を始めた社員を見て寺田社長は、会社は社員に成長を強制するのではなく、支援する立場にあるのだということを実感されたそうです。
そうして叱ることもほとんどなくなると、社員とのコミュニケーションが増え、プライベートなことを話してくれたり、社員から挨拶をしてくれるようになったといいます。これが仕組みをつくって1番良かったと感じていることだそうです。
今回、発表者として参加された総務・経理の幡さんも、人事制度づくりを通して飛躍を遂げられたお1人です。寺田社長と人事塾に参加されて人事制度づくりに取り組み、「今、仕事をするのが楽しくてしょうがないんです」とおっしゃる幡さんは、「その楽しさを他の社員さん・パートさんたちにも味わってもらいたい」と、総務・経理の仕事をされながら製造部の生産性向上にも取り組まれています。
まず行ったのが作業内容一覧表づくりです。作業内容が一覧になっているだけでなく、きちんと分類され、
○作業にかかる標準時間
○仕事を覚える順序
○難易度
までが示されています。製造に携わっているのはパートさんが主だそうです。そこで、この一覧表を基にどこまで仕事ができるようになったのかということが、時給に反映される仕組みを構築されたそうです。
この作業内容一覧表には、実に500以上の作業項目が並んでいます。しかし、表にするまでにかかった時間は、たったの1週間。これを聞いて、会場はどよめきました。この速さのポイントは次の一言です。
「漏れや抜けがあったら後で足せばいいから、今やっている仕事を書き出して出してください」
幡さんは、そういって製造部の責任者に作業内容を書き出してもらったのです。最初から最高の品質を求めるのではなく、とにかく行動することを求めたということです。
人事制度と同じく、完璧を求めずに1週間でつくった一覧表によって、モチベーションを高めるパートさん。どんどん自らステップアップを目指し始めたそうです。
社員もパートさんも楽しんで仕事をしてもらいたい。寺田社長も幡さんも、日々、成長シートや業務内容の改善に取り組まれています。
■ 社員の成長のための人事制度は、組織風土を変える
株式会社ダスキン福
代表取締役  八木 様
事業内容:清掃用品レンタル・販売、清掃サービス、       害虫駆除サービス、その他
「今思えば、結果的に成果主義だったんだと思います」
過去を振り返って、八木社長が話されたのは次のことでした。
12年前、本部の政策もあり、ダスキン福ではサブフランチャイズという歩合給の仕組みを取り入れました。「やったらやっただけ儲かる」という言葉に社員からパートさんまでが反応し、今の1.5倍ほどにまで売上がぐっと上がったそうです。
ただ、その売上のかわりに失ったのが社内風土です。
○朝礼に出ない
○時間を守らない
○注意しても「独立してるんだし売上は上げてるんだから何をしたって関係ないでしょ」と言う
そんな人間の集まりになってしまったのです。みんなで協力して会社の業績を良くしようという考えが生まれるはずもなく、2~3年後には再び売上ががくっと落ちてしまいました。
そのとき、「売上やお金では人のモチベーションを上げられない」「会社の目的は売上を上げることではない」ということを感じられたそうです。
また、マネージャー職につけた入社5年目の社員から、「自分は頑張って営業の成績も上げているのに、この賃金額では納得できない。私はどう評価されているのですか?」という質問を受けるということもありました。
マネージャー職に個人の成績ではなく、部下を育てることで成果を出して欲しいという思いが伝わっていない。しかも、自分がどう評価されているのかわからないという疑問がその社員1人からではなく、社内からちらほら聞こえる。なんとかしたい。それらを解決するためには評価制度が必要ではないか。そう思われたそうです。
「実際に成長支援制度(評価制度)を含めた人事制度をつくってみると、経営者として非常に楽になりました(八木社長談)」
自分がどう評価されているのかがわかる。そして、評価や業績とリンクさせて事前に処遇を説明されるので、社員の処遇に対する不満がなくなったからです。
処遇とリンクしている評価。この評価について、「人を見て評価するのではない。行動を見て評価するのだ」という説明されたことも、社員の方が安心された理由の1つでしょう。
ただ、まだ課題は残っています。成長シートをつくって評価をしてみると、上司と部下との間に評価のギャップが生じるということです。これは、信頼関係のあるなし以前に、普段からコミュニケーションが不足しているためです。
実際に、上司と部下との間に信頼関係がある組織は、売上が伸びていることがわかりました。これからは「上司は部下の応援団である」ということをもっと組織に浸透させ、成長シートを使って部下を成長させることができるよう、中堅職を育てていきたい(八木社長談)そうです。
「自分がどういうふうに評価されているのか」ということがわかることは、働く人の安心に繋がるのではないか。実際に仕組みづくりを進めながらそう感じたという八木社長。人事制度を通して将来のモデルを示すこと、そして人生の目標を設定し長期で安心して成長してもらうということを考えられています。
また、ダスキン福さんでは、人事制度づくりとは別に、社員同士の「ありがとうカード」の発行や「お客様の声」集めの仕組みをつくり、組織風土の改善に取り組まれています。
■ 自信を持って社員と向き合い、社長の思いを伝える
関災工業株式会社
代表取締役  宮崎 様
事業内容:消防施設工事業、電気工事業
口でどんなことを言うよりも、形にして見せることが大切だということを強調された宮崎社長。人事制度をつくり、自らの思いを可視化しました。
関災工業さんには、宮崎社長が次を任せてもいいと思うNo.2とも言える存在の方がいらっしゃいました。ただ、仕事はできるけれど勤務態度が良くないという問題を抱えていました。
仕事は好きでよく働いてくれるが、やはり幹部となるなら基本的なことをクリアしてもらわなければならない。勤務態度が良くない人を幹部にするわけにはいかない。そう考えた社長は、つくった成長シートでそのNo.2の社員を評価しました。出したのは40点という点数。その点数を突き付け、直すべきことを直さない限りは先へ進めないということを伝えたのです。
最終的に、その社員はのれん分けのような形で独立し、会社を辞めることになりました。しかしこれは賃金を問題にした辞め方ではありません。宮崎社長が明らかにした、関災工業としての価値観と合わなかったために辞めたということです。ですから、気まずい別れ方ではありませんでした。
その社員は仕事のできる3人の社員を連れていきましたが、宮崎社長はその社員たちが独立してもやっていけるよう、陰で手を尽くされたそうです。
仕事ができる人間がそんなに辞めてしまって大丈夫なのか。そういった周りの声もありましたが、周りの心配に反して、思っていた以上にいい業績が出たそうです。それというのも、残った社員が頑張り始めたからだと言います。
その変化が顕著だったのは、ある営業所を任せていた勤務歴20年になる社員です。仕事によっては「できません」と断るなど少し問題があるなあと感じていたその社員が、「来る仕事は全部受注するから、協力してもらえないですか」と社長に言ってきたのです。
昨年は3割以上も多い受注件数になり、受注額も2割以上増えました。しかし、「今年も昨年以上に頑張ります」と言ったそうです。
社長の考えを仕組みとして明らかにした。その仕組みと価値観の異なるNo.2が辞めた。普通なら、マイナスのできごととして考えてしまうかもしれません。しかし、だからといって宮崎社長は自分の考えを変えることはしませんでした。思いを貫いたのです。そしてそのことが残った社員を大きく変えてしまったのです。
仕組みをつくったことは、他にもいい効果を生みました。成長シートを使った社員との面接では、きちんと成長の方向性を示して説明することができるので評価やそれに合わせて支給される昇給・賞与に不平不満が出なくなったことです。社員も面接を心待ちにしていると言います。おそらく、面接では社員が成長したところをきちんと認めながら、いろいろな話をされているのでしょう。
また、成長シートとして仕事の内容を明らかにしたことで、責任者に仕事を任せることができるようになりました。すると責任者の方たちはやりがいを感じ始め、今では成長シートの改善案を提案してくるほどになったそうです。
仕組みになっているため、どんな質問を受けても答えることができます。就業規則、評価の仕方、ステップアップの仕方、それに基づく昇給・賞与の決め方。ですから、自信を持った採用ができるようになりました。
今回の仕組みづくりを通して、人がいてこそ企業が成り立つのだということを身にしみて感じたとのこと。社員が安心して働ける会社をつくるためには、秘密主義ではいけないと最後に宮崎社長は話されました。
■ 管理者の成長が経営者の余裕を生み出す
株式会社千田設備
専務取締役  佐藤  様
事業内容:管工事、空調工事、営繕工事、不動産売買、産業廃棄物処理、建築工事業
現在、工事・設備・建築といった業界は非常に厳しい状態にあると言われています。しかしそんな中、仕組みをつくることで成果を上げられた会社がありました。それが千代田設備さんです。
千田設備さんでは、社員成長プロジェクト委員会というプロジェクトチームのみなさんで人事制度を構築されました。このプロジェクトチームは、なんと4年間で55回もの評価決定会議を行ったのです。
千田設備さんには100人を超える正社員の方がいらっしゃいます。そのすべての方の処遇を、社長が1人で決めていました。いろんな要素を加味し、社員のために処遇を決定する。その負担は、相当なものだったはずです。
しかし、大変な負担でありながら、多くの社員がその処遇に納得していませんでした。どのように社員を評価し、処遇にリンクされているのか、それがわからなかったからです。わからないこと、それは不安に繋がります。
○昇給がないのはなぜなのか
○今の賃金では家族を養えない
○年をとって現場に出られなくなったときにどうなるのか
○自分の未来像が描けない
○頑張っても評価されないのではないか
○コツコツやった人間がばかを見る気がする
○人を見て査定しているのではないか
こんな不安を抱きながら、仕事に打ち込めるはずがありません。当然のことながら社内のモチベーションは下がり、しっかり将来を考える社員から辞めていきました。結果として業績も下がり、昇給や賞与が減り、しかしそのことに納得がいかず、さらに社員のモチベーションが下がる。悪循環です。
そこで、「社員一人一人が成長する、結果、会社の業績が向上する」仕組みづくりを目的としたプロジェクトが立ち上がったのです。
①正当な評価と処遇がされる制度
②昇格したいと思わせる制度
(魅力ある役職評価)
③明確な評価判断基準がある制度
④タイムリーな昇格・降格が行われる制度
⑤部門間の格差をなくす公平な制度
千田設備さんが自社を魅力ある会社にするために、これらを満たすことのできる仕組みを目指しました。その結果、どうなったのでしょうか。
90%を割っていた定着率が、94%にまで回復し、1年間で、労働分配率が3%も改善しました。昇格基準に資格の取得ということを盛り込んだことで、それまで半数ほどだった資格受験者数が70%以上になりました。資格取得というのは社員が前向きになったことの現れです。1人あたりの月額限界利益は2年間で60万円もアップしました。
また、成長シートができたことで、評価基準が明確になりました。頑張ったことはきちんと評価されるということがわかったのです。もちろん、評価決定会議によって評価が決定されるため、管理者による評価のばらつきもありません。社員が納得できる評価だということです。つまり、それに基づいて決められる処遇についての不満もなくなりました。
成長シートを使ってフィードバック面談が行われることで、管理者の意識も変わりました。評価をするという責任だけではなく、部下を成長させる責任ということを考えるようになり、部下とのコミュニケーションが増えたのです。社内の雰囲気がどうなったか、おのずと想像がつくと思います。
どこの会社でもそうですが、おそらく、千田設備さんでも管理者の方は最初、フィードバック面談ということを嫌がったはずです。その際よく理由に挙げられるのが「時間がない」ということ。千田設備さんでは「朝礼に出なくていいからその時間に面談をしてください」と管理者に時間をつくらせるなど、工夫されたようです。
また、成果として、プロジェクトメンバーの方の成長も大きかったと言います。人の問題に関わるというだけでなく、経営の問題についても考えるようになるなど、参画意識が向上したのです。
このプロジェクトと社長との関わり方。ここにも、仕組みづくりが上手くいった大きなポイントがあるように思います。平成16年7月31日に発足したこのプロジェクトに、社長自身は参加されていません。社長自身が仕組みづくりに参加していない会社でよく聞かれる悩みですが、千代田設備さんでも社長とプロジェクトメンバーとに考えのギャップがあったそうです。
そこで千田設備さんでは、プロジェクト会議の議事録を毎回社長に提出されていました。また、昇給・賞与など処遇については、プロジェクト会議で決めたものを社長に提出し、赤で修正を入れてもらう。そして、修正が入った部分を基に何を考慮したのかをメンバーで考え、再度処遇を検討し直したものを社長に提出する、ということを繰り返されていました。
第1回目の処遇はなんと、10回もの検討を重ねてようやく社長から承認を得たとのこと。おそらく、こういった取り組み方から、社長の考えを可視化して仕組みをつくるという方向性が、社長に伝わったのではないでしょうか。
社長ではない方が人事制度づくりに取り組まれている方は、参考にしてください。
■ 新卒社員の採用に人事制度を活用し定着率UP
株式会社パム
代表取締役  岩田  様
事業内容:シール、ラベル、企画印刷
パムさんではもともと、すべてを成果、数字によって評価していました。職人が多く、売上を上げればいい社員と評価されるため、個々のスキルで会社が成り立つような状態。決して組織になりえていなかったといいます。
また、だめな社員がいるからいけないのかというとそうではありませんでした。2:6:2の原則で言う下の2割の社員が辞めたとしても、残った社員の中から下の2割が発生したのです。
岩田社長は会社としての限界を感じ、人を育て、評価する仕組みの必要性を強く感じられたそうです。
何が問題であるのか。仕組みづくりをしながらそれを考えてみると、重要業務が不明確だったということがわかりました。成果を上げればいいということはわかっていても、どうすればいいのか、やるべき内容がわからなければ成果を上げることは難しくなります。また、やるべき内容が評価されず、数字だけで評価されるのであれば、やるべき内容ややり方が共有化されるはずもありません。
そこで、パムの社員として期待される社員像が明確になるよう、仕組みとしてまとめたのです。
期待像を明確にしたことで、すべての社員に成長の目標を示すことができるようになりました。すると、若手社員の成長意欲が高まったのです。
また、新卒採用の際の面談で成長シートを見せることで、最初から自社に合った人材を採用することができるようにもなりました。
なぜ、自社に合った人材を採用できているとわかるのか。それは、新卒を始めた2年前から、定着率がほぼ100%だからです。ある日、30代の社員が社長室に「大変です!」と言って飛び込んで来たといいます。
社員  「社長大変です!」
岩田社長「どうした」
社員  「社員が誰も辞めません!このままだと大変です!」
2年間で採用した新卒は25名。正社員が60名弱ですから、約半数が最近採用した新卒ということになります。「今の新卒は3年で30%が辞める」と言われている中、この定着率は驚くべき数字ではないでしょうか。
ただ、入社して3年では業績に貢献できるまでの成長途中の段階です。その入社して3年以内の社員が全体の半数を占めているため固定費が増え、労働分配率が高くなっているという驚きの報告もありました。新卒を採用して労働分配率を下げましょうとお話している人事塾の全国大会でのこのご報告。会場からは思わず笑いが起こりました(笑)
とはいっても、現在受けている新卒採用のための新卒採用専門のコンサルティングを今年いっぱいでやめるため、その分の費用がなくなれば労働分配率は下がるだろうとも話されていました。
人材開発室やマーケティング室をつくって新卒の社員を積極的に参加させるなど、新卒の社員の育成に力を入れているインパムさん。一方で、中途採用の社員との間にギャップが生じています。どう中途採用の社員の意識を変えていくか、そこがこれからの課題だということです。